2010/06/16

腕時計が死んじゃった。

いつもしていた腕時計。
少し見ないうちに、死んじゃった。


今まで生活していて、腕時計が無くて困った事がなかったので、
殆ど腕時計をする事はなかった。
しかも、右利きのくせに右腕にする癖があったので、
していたとしても何かする度、邪魔になって外してしまっていた。

その腕時計をし始めたのは、一昨年。
腐ってしまっていた頃。
このままではいけないと思いながらも、
体も心も、動かせなかった時に、
苦肉の策として、いつもと違う習慣を取り入れて、
動くスイッチを作ろうと思ったのがきっかけ。

そのいつもと違う習慣として、
腕時計を左腕にする
香水をつける
の2つを実行するようにした。
ずっと身の回りにあって、意識出来るものとして。

朝、動くスイッチを入れるために必死で修行のように続けた。
腕時計をして、香水つけて、さあ行くよって。
一種の自己暗示みたいなものだった。

ただ、普通の腕時計はどうしても馴染めないので、
ごっつい牛革の若い頃に進んで付けていたリストバンドの様な、
見ただけでは腕時計と分かりにくいものを選んだ。
もちろん、鋲はついてません。。

少しずつゆっくり靄が晴れて行くように、酷い状態が回復していき、
それまでの自分を冷静に判断出来るようになり、
感情が動く事が嬉しく思えるようになってくると、
あれだけ毎日毎日、修行のようにし続けていた、
腕時計をすることや香水をつけることを忘れるようになってしまった。

その事を、私自身、
「あ、そういうことなのね。私、抜け出せたんだ。」
って、何気にぼんやりと思ってた。

そして、ここ数日、置きっぱなしにしていた腕時計をしようと手に取ると、
ディスプレイは真っ黒になっていた。

・・・死んじゃった。
って感じた後、電池が切れたのだと理解した。

何だか、なにも表示していない真っ黒な画面はとても穏やかに見えて
「もう、大丈夫だよね。お役御免だよ。」
って、言ってるみたいなんだな。

辛い辛い時期を、そっと支えてくれてた。
そんな私の側では、楽しくなっかただろうにね。

電池を交換すればいいだけなんだけれど、
そうしてしまうと、乱暴に目覚めさせてしまうような
やっと手に入れた彼の安らぎをぶちこわす様な気がして。

当分の間は、そのまま着ける事にした、リストバンドとして。
私の酷い仕打ちで死んじゃった彼の死体を左腕に着けて、
自分の通った道を忘れないように。

そして、図々しいのだけれど、
また、あの世界に迷い込まないお守りになってもらうために。

今まで、本当にありがとう。

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