携帯電話から聞こえてくる知ってる声。
いつもいつも、頭の中で聞こえてる声。
片手にすっぽり収まる金属の箱から
想い描いていたよりもずっと優しい声がする。
考えてみると、不思議ね。
とてもとても大事なことなのに
小さな小さな機械にすべてを委ねるしかないなんてね。
どんな顔をして、どんな格好をして、
何を見ながら、誰が側に居るかも分からない。
でも、確かにあの人の声。
形も無い、聞こえた側から消えて行く。
触る事も、見る事も、全く出来ない。
ただ、あの人の声には温度がある。
私の体の内側に確実に刻まれていく。
ゆっくりとじんわりと心地良い痛みと共に。
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