2010/07/17

凄いものって、どきどきする。

前の事だけど、思い出した。
凄いものを見て、どきどきするって事。

刀鍛冶の博物館?に行った時の事。

別にそこを目指していた訳でもなく、
単に他に行く所が見つからなかっただけ。
それに、私は刀マニアでもないし、時代劇マニアでもない。
要は、そんなに興味を持った事が無かった、刀というものに。

そんな無計画に行ったもんだから、
刀鍛冶実演みたいなものはとっくに終わっていて、
しかも、閉館時間も迫ってた。

ただ運良く?、その施設はかなり狭くて、
展示室はぐるっと一望できるくらい。
しかも、閉館前という事と、辺ぴな場所のせいもあり
私たち以外には、2家族ほどしか居なかった。

順路に沿ってスタート。
鞘や鍔の説明から始まり、展示があった。
初めてきちんと見るものばかりなので、思ってたより面白かった。
一緒に行った人と話しながら、順調に進んで行った。

が、刃の部分だけの展示ケースの前で、私はすべてが止まった。
20本くらい展示されている中の、一本に私はやられてしまった。
目が離せない、動けない、鼓動が速くなる。。。
本当に美しかった、背筋が伸びた、息が止まった。
凛としていて、その周りの空気には一点のくもりも無く、その存在感は不動。
形状には無駄な部分など存在せず、金属の冷たさ以上の冷たさを感じた。
刀というものの性質なのか、まず感じたのは恐ろしさ。
でも、恐怖ではない。畏敬の念に近いかな。。。
今思えば、山で出会った野生の牡鹿を見た時に似ている。。

どきどきがひどくなる中で、次に思ったのは、なんと、触れたい。
自分が傷ついてもいいので触れたい、そして、持ってみたい。
でも、同時に感じてた。
持った瞬間、私は自分であれ他人であれ、斬ろうとするだろうという事。
よく小説などに出てくる、持つと必ず人を斬りたくなる刀って実在するんだって思った。

どのくらいどきどきしながら、立ち尽くしていたのか分からない。
連れに、声をかけられ現実に引き戻された。

私は皆が同じ事を感じるのだと、欠片も疑ってなかったんだけれど、
どういうことか、私が高ぶった感情のまま一所懸命感じたことを説明しても、
全く同意してもらえなかったし、理解さえしてもらえなかった。。。
後から来てた人達も、立ち止まる事無く、流し見していた。

こんなことあるんだろうかと、ショックを受け、
一度は連れに宥められるままその場を離れたが、
どうしても、どうしても気持ちが落ち着かなかったので、
連れをほったらかしにして引き返し、もう一度あの刃の所に戻った。
やはり、同じ感覚が確かにあった、間違いなく。

結局、閉館時間まで私はその展示ケースの前に居た。
魅せられるとはこういう事なんだろうな。
どれだけ見ていても、美しさもどきどきも変わらない。

後で調べると、それは「名刀」と呼ばれるものだった。

刀という特殊な道具の所為なのかとも思うけれど、
きっと凄いものに出会った時には、どきどきするんだろうなって思ってる。

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