2009/10/02

白い部屋

気がつくと、真っ白いパイプベッドの上に座ってた。

日差しが注ぎ込む、天井が吹き抜けのように高い、だだっ広い部屋の真ん中に、たったひとつベッドだけがある。

まわりはすべて真っ白。
ベッドの上の布団も枕も、壁も床も天井も。
私が来ているものも真っ白。




その部屋には、大きな大きな窓があった。
窓と呼べるかどうかは分からない。
窓というより、厚み20cmくらいの壁に四角い穴が開いていると言った方が正解。
窓枠も、窓ガラスも、カーテンも無い。
その穴が、一辺3mくらいあったと思う。
差し込む日差しが強すぎて、外も真っ白。

心細さや、怖さは全く無かった。
でも、何かの施設だということしか私は知らなかった。

頭の中が空っぽで、ただ、ぽつんと座っていると、少しずつ体が浮き上がった。
飛ぶというより、体の重さがどんどん減っていって、風船が漂うような感じ。

少しずつ少しずつ浮き上がり、目線が高くなっていくのがとても楽しかった。
大きな窓の中心くらいまで、浮き上がっていった。

気づかなかったけど、窓と反対側の壁の向かって左端には、部屋の入り口(出口?)があった。
これも、単なる穴だったけど。。

そこに、一人の女性が立ち尽くしていた。
黒髪を後ろにひっつめて、銀縁眼鏡をかけて、淡いグレーのスーツを着て黒い3cmくらいのパンプスを履いて、胸の前には書類の様なものを両手で抱きかかえていた。
その女性の目は、驚きが溢れ出るんじゃないかと思うほど見開かれていた。

私は、大好きなその女性に、
「見て!」
と、最上級のの笑顔で言った。きっと、喜んでくれると思って。

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