2009/10/07

空飛ぶ魚

良くある風景。
現実と違うのは、人も車も雀も何にも居ない事だけ。

少し広い目の幹線道路があって、民家や5階くらいのマンションがちらほらある。
そんなに高い建物があるのでもないので、空は広い。
薄曇りの淋しげな広い空、午後遅く。



そんな風景の中、ぽつんと広い自走タイプの駐車場。
駐車している車は一台もない。

その駐車場のど真ん中に、直径30cmくらいの灰色がかった白い一本のポールが立ってる。
私は手を伸ばせば、ポールに届きそうなくらい近づいて見上げた。

どんどん目線が昇っていく。
首がこれ以上曲がらないと思う程に見上げた先には、箱?
ポールの先端にはポールと同じ色の2m×2m?程の箱がのかってた。

そして、
その箱の周りを少し離れて、ゆっくりゆっくり旋回している大きな魚が2匹。
3m?4mくらいはありそうな、巨大魚。
魚を見る為に私は目線はそのままで、3歩程後ろに移動した。

魚?は、全体にヌメとしていて鱗は無く(無いように見えた)
重量感は鯉に似ていたがもっとスマートだった。
背びれは無く、腹びれが面積を減らしながら尻尾まで続いていた。
尻尾は長く、シフォン生地のように半透明で、ふわふわと漂っている感じ。
腹びれも同じ質感で漂っていた。

片方は、頭は白く尻尾にかけて鴇色にグラデーションしていた。
もう片方は、頭が檸檬色で尻尾にかけて烏色にグラデーションしていた。

2匹は同じスピードで、まるで遊園地の乗り物ののようにまわり続けている。

大きな空に目もくれず、ただただ回っている。

私はいつか魚達が大空に向かうんじゃないかと思って、ただただ見上げているだけだった。

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