2010/05/23

たとえ話。

とても、ケーキが食べたくなりました。
小さなケーキ屋さんを見つけて、
お店に入りましたが、
お財布には一個分しかお金が入っていません。


大きな苺のショートケーキか、
ツヤツヤしているチョコケーキか、
どちらも食べたいけれど、
買えるのは、一個だけ。

散々迷ったあげく、苺のケーキを買って帰りました。
家で、とても美味しくいただきました。
私の心もお腹も満足でした。

数日経って、ふと、選ばなかったチョコケーキを思い出し、
もう一度、あのケーキ屋さんに行ってみました。
お財布には、10個でも買えるくらいのお金が入っていました。

ところが、ケーキ屋さんは無くなっていました。
もう二度と、あのチョコケーキは食べる事は出来ません。
私はこれから選ばなかったチョコケーキを
思い出す事しか出来ないのです。

また別の日、ケーキが食べたくなり、
違うケーキ屋さんに行きました。
何故だか、またお財布のは一個分のお金しかありません。
おいしそうなケーキが沢山ありましたが、
以前食べる事の出来なかったチョコケーキを
買おうと思っていました。

そのお店の店員さんは、とても感じが良く、
とても丁寧にお話をしてくれました。
彼女は、この店一番のフルーツケーキを勧めてくれました。
何でも、こだわりのケーキで、同じ物を作る材料が手に入らないという理由で
今日で出せるのは最後、今後作る予定も無いとのことでした。

私は、その彼女の言葉を信用し、
最後の一個となったフルーツケーキを買って帰りました。
彼女の言葉に嘘はなく、本当に美味しいケーキでした。
私は心もお腹も満足でした。

ところがまた、選ばなかったチョコケーキを思い出し、
彼女の居るケーキ屋さんに行きました。
お財布にはケーキを20個は買えるくらいのお金が入っています。

ところが、そのお店には彼女は居なく、
チョコケーキはありませんでした。

私は、あの彼女のやさしい笑顔と
選ぶ事を諦めたチョコケーキを
思い出す事しか出来ません。

後から考えて思うのは、
苺のケーキではなく、フルーツケーキでもなく、
あの時チョコケーキを買っていたら
今と何が違っていたのだろうという事。

心もお腹も満足していたのだけれど。

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