2009/11/14

見えない色

いつ読んだのか、何て小説だったか覚えてないんだけれども、シーンだけ覚えている。


植物が生い茂る森の中、周りには緑色しか無く、その中、始まったばかりの恋人同士が寄り添っている。
彼女は、その目眩がするほどの幸せに、のぼせ上がってしまい鼻血を出してしまう。
それを隠そうと、彼から顔を逸らすのだけれども、葉の上に数滴の血が落ちてしまう。
彼女は、恥ずかしくて恥ずかしくて、でも彼がどう思っているのか知りたいので顔を逸らしながら彼を見る・・・
そこには、表情一つ変えずに、その場に佇んでいる彼が居るだけ・・・
心配もしてくれず、声もかけてくれない彼に対し、彼女は裏切りに似た感情を覚える。。

って、シーン。たぶん。。
読んだその時は、全く意味不明だったんだけれども、大学の時にはっきり分かった出来事があった。。

12月の中旬、クラブで使うクリスマスのイベント用の看板を作らされてた。
バックは緑色、文字は赤色って、ど定番の配色。(私は塗ってただけ)

そこに、気さくな後輩を大事にしてくれる先輩が通りかかって
"何してんの?"
と、やさしく声をかけてくれた。
一緒に看板作りをしている中の一人が、
"もう先輩、読んだら分かるじゃないですか!"
と、冗談まじりに答えると、先輩は真顔で
"何か、文字が書いてあるの?"

先輩は色盲だったんです。
その時まで全く知りませんでした。
そして、本当に"見えない"ということも、初めて知りました。
そしてそして、いつかの小説の彼が色盲だということも初めて理解出来たのでした。

その先輩には、世界はどんな風に見えてるんでしょうか、何が見えてないんでしょうか。
何気なく過ごす淡々とした日常生活の中に、そんな大きな違いがあるとは思いもしませんでした。

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