2009/11/11

意識しなくても忘れない人

大学生の頃、一緒にバンドをしていた先輩がいた。
随分上の人だったんだけど、珍しく可愛がられてた様に思う。
(人は簡単に変わらない、やっぱり馴染めてなかった、大学でも。)

彼女は、絶対音感を持っていて素敵なキーボードひきだったけど、
自分はドラマーだと言い切っていた。
(小柄な彼女にぴったりな感じのタイトなドラムを叩いてた、それも素敵だったけど)



彼女が最後の学祭の最終日夜遅く、二人で向かい合って飲んでた。
どこでそんなに飲んだのか、ぐでんぐでんになりながら、
まだ、啜る様に日本酒を飲んでた。。。。。
たぶん、今更何を飲んでも同じだろうなぁと思う程、酔っぱらいだった。

いつもは、さらっとしたクールな距離感の人だったんだけれども、
その日は全く違ってた。かなりの近距離だった。

そして、いきなり始まった。。。
近距離から、バケツで極彩色のペンキをぶちまけられた様な気がした。
いつものクールさの裏に隠されていた彼女の熱い熱い気持ち。

・・・お前は続けなアカン!!!

・・・お前が望めば誰とだって繋がっていられるんや!!!

・・・何でその事が分からんのや、何でや!!!

泣きながら、鼻水すすりながら、叫ぶ様に連呼された、目のまん前で。
もちろん、その強烈な思いに、私も泣いてしまった。

ぶちまけっぱなしのまま、 卒業した彼女は
就職のため遠い地へ行ってしまった。

ぶちまけられたペンキは、今でも全部は落ちてない気がする。
私は、彼女に何かを渡せたのだろうか。


その数年後、ふとしたきっかけで連絡をとる機会ができ、
その時も変わらず(しらふだったので)クールだったけど
私の変化を、笑いながらひとつひとつ大切に喜んでくれてた。
そして、
・・・こっちへ来たらええねん。何とでもなるって。
って、言ってくれてた。

その数ヶ月後、彼女は本当に遠くに行ってしまった。
私はその日の朝、連絡しようと思ってた。
また、私の変化を伝えたくって。
笑いながら喜んでくれると思って。
本当に、連絡しようと思ってた。
彼女の事を知らせる電話が来るまで。。。

数えるほどしか居ない、私を真正面から見てくれて
歪な形をしている自分の事を、意識させないでくれた人。
何でなんだろうね。
今でも時々、繋がってるような気がする。

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