2009/12/10

笑顔の時間

去年の10月頃、まだ霧の中を歩いているくらいの時期。
彼女が会いに来てくれた。



どこかの教室?大学?
明るい日が差し込む、広い部屋。
私たち以外にも、沢山の人がいてがやがやしていた。
知ってる顔は無かったけれど、居場所の無い時の、独特の不安は無かった。

何事もなかったように、
彼女は少しはにかみながら、片手をあげて一言
「よっ。」
私も何もなかったように、
「お久しぶりです、お元気ですか?」

何一つ変わらない彼女。
最後に見た時と同じ、髪型も体型も笑顔も年齢も。
きっと、私は彼女よりも年を取ってる。
でも、私の解れていく心も、変わらない。
かけらも、悲しみの色は無い。

たわいもない会話を、笑顔の中で交わした後、
彼女は、
「じゃ、もう行くわ、飛行機の時間やねん。」

話足りない私は、
「連絡先、教えて。電話するから。遊びにも行きたいし。」

快く携帯の番号を教えてもらって、それだけで安心した。

来たときの様に、片手をあげて去って行った。
ただ、いつものように背中ごしに手を振るのではなく、
振り向き、私の目を見て手を振ってくれた。
「ほなな、また。」

その後、すぐに電話してみた。
受話器からは、何の音もしない。

「タイだもんね、仕方ないなよな、遠い外国だもん。」

簡単に納得し、受話器を置く。

でも、全く悲しくも淋しくもなかった。
体の真ん中に、柔らかい温もりが残ってたから。



ごめんね、遠い場所でも心配してもらってるのかな。
いつか会えたら、お酒奢るね。
また、会いに来てね、いつでも待ってるよ。

0 件のコメント:

コメントを投稿