2010/03/17

光と色。

とっても昔のお話。
私が高校生だった時の、忘れられない体験。


通っていた高校は工業高校。
まあ、格好良く言えばデザイン科。

授業は色々あったけれど、
その中で覚えている授業のお話。

色についての初歩の授業だった。
良くある色彩構成とかより、もっと初歩。

色がなぜ、色に見えるか?

ほんと、当たり前に日々、目にしている”色”。
目を開けている限り、意識しなくても見てる。
あって当たり前。

それは、光があるから。
そんなの、常識。

だったはずだけれど。。。。

その日の授業は暗室で行われた。
生まれて初めて入った、暗室ってところ。
写真の現像に使う所としか知らなかったし、
自分達の使える暗室があるってことも知らなかった。

窓一つ無い、蛍光灯の明かりのついた異質な部屋にクラス全員押し込まれて、
机の上には、50色程のカラーチップが並べられてた。
しかも、微妙な変化のグラデーションだった。
 
「このグラデーションは見分けられますよね?」
・・・当たり前じゃん、違う色なんだもん。。
「通常、中々見分ける事は出来ません。
見分けられるのは、あんたたちが訓練されているからです。」
・・・えー、嘘。私たち、訓練されてたんだ。。

そんなものなのかと、軽いショック。。
まだその頃は、数学や物理とデザインは全く別ものだと信じてた。。。
身に付くものでなく、湧き出るものと思ってた。

そして
「でも、いくら訓練しても光が無いと意味ありません。」
・・・うーん、そうなのかな。夜でも色はあるのに。
「電気、消しますからカラーチップ見てて下さい。」

・・・うわ、何これ!私、目開いてるよね!!

本当の暗闇。
暗闇とも言えないのかもしれない。
無。
何度も、自分の目が開いてるのか触って確かめた。
そして、いくら経っても目は慣れなかった。

自分しか居ないような気がした。
自分さえも、居ないというか無いような・・・
不安になって、隣にいた子の手を掴んでた。


あの時初めて、実感した。
光がないと、色は存在しないって事。

頭で分かってるのと、体験して理解するって事が
全く違う別のものなんだっていうことが、
はっきりくっきり感じる事が出来た。

長いこと生きてるけれど、
同じ様な体験は、少ないと思う。

今思い出しても、すんごい授業だったなあ。

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