2010/03/15

どんな場面でも。

埃っぽい街中、まるでタイの繁華街に似てる。
アスファルトか土なのか分からない道。
建物は、せいぜい3階建てのエセコンクリート造り。


道を、土色のジープのようなトラックが一台走ってる。
その荷台から、しょぼい2mくらいの釣り竿が突き出ている。
そして、釣り竿にぶら下がっているのは、ルアーでも餌でもなく、
白い布をぐるぐる巻きにして作られている、歪な形の玉。

なぜか、その玉を追いかける様に、何匹もの動物がついて行く。
飼い猫、野良猫、飼い犬、野良犬、ウサギにフェレット。。。
どうみても、魅力的には見えないんだけど。

その異様な光景を、沢山の人が眺めてる。
悲壮感や不安などなく、単に見てるだけ。

私にも悲壮感は無く、
「あ、あいつもついていったな、もう。。」
って、感じ。

そのトラックの行き着く先は、小さな広場。
人集りの真ん中で、白い服を着た、
貧弱な老人が、何か大声で叫びながら踊ってた。

私は特に感想もなく、近くの見物人に
「黒猫はどこに居ますか?」
と尋ね、指差すプレハブ小屋へ歩いていった、
何故だか、急ぐ訳でもなくゆっくりと。

扉の開いたままの小屋に入ると、
地面にも、棚の上にも、どこかしこに居る、
何十匹もの、黒い猫。
一斉に、こちらを向く。
”あんた、だれ?”
ざっと見渡したけど、あいつは居ない。
こちらを向いた瞳は、全部知らない色してた。
「やっぱりね。。。」

こんな所には、居ないと思ってた。
さてはて、では何処へ行った?

小屋の隣に小さな給湯室があった。
扉を開けると、その音にびっくりして尻尾を下に向けたまま
まん丸の瞳で振り返るあいつを発見。

怖がって歩けない大きな黒い体を
よっこいしょと、抱き上げて一緒に帰る。

「もう、仕方ないなあ。」
って、言いながら顔を近づけると
”ごめんよ、ついつい。”
って、返事した。

どんな場面でも、あいつはあいつだった。

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